月夜の翡翠と貴方



コツ、コツ、と入って来たときと同じ音を響かせて、マテンは階段を上がって行った。



…ルトが、この邸に来る。

いつ来るのかも、私にはわからない。

…もう、会ってもどうしようもないのだ。

私とルトの間には、何もない。

阻むものもなければ、引き合うものもない。

私だけが望んでも、仕方がないのだ。

ルトが、『それ』を望まないのなら、私達は引き合わない。


…わかっているのに。


心の奥で、酷く動揺している私に、私はもう気づかなければならない。







『朝食』と言って、男達が檻へもって来たのは、簡素なスープとパンだった。


手枷を外され、スプーンを片手に飲んだスープは、冷え切っていた。

すぐに食べ終えてしまい、後悔する。

ルトといて、圧倒的に今までと違う食事量に、慣れてしまったから。