月夜の翡翠と貴方




「ジェイド、起きているか?」


コツ、コツ、と黒い革靴を鳴らして、マテンが地下へ降りてくる。


寝たふりをしたくなるが、どうせまた来るのだと思い、仕方なく姿勢を正した。

マテンは、静かに彼を見つめる私の姿をみて、嫌な笑みを浮かべた。


「…おはよう。よく眠れたかい」


…よく言う。

大事なコレクションだなんて言っておいて、昨日は乱暴に髪を掴み上げ、寝床には布一枚すらない。

しかも手枷はつけられたまま。

お陰で、身体の至る所が悲鳴を上げ、実に不快な目覚めだ。

私を大事にする気が、少しもないことくらいわかる。


「今日は、ようやくお前を我がコレクションにできる。檻のなかに、見飽きるまで閉じ込めてやろう」


醜い笑みを浮かべたマテンが、私を見下ろす。

…醜い。

私も、醜い。

マテンは「早くコレクションにしたいところだがね」と言うと、ふ、と笑った。


「…先に、シズどのに報酬を渡さなければならない。穢れにまみれた麗しいお前を、ここまで連れてきてくれた彼にな」


…ルトが、この邸に、くる?

私はわずかに、気づかれないように目を見開く。