月夜の翡翠と貴方



冷え切った私の感情を、ひとつ動かした、あの微笑み。


…また、思い出す。

人形のような私をずっと見ていた、ナタナが寝台の上で、囁いた。



『貴女の心の叫びが、聞きたい』


と。







目を開けて、痛む身体を無理矢理起こす。


…もう、今が朝か夜かもわからない。

目がはっきりと冴えているから、充分に寝れるぐらいの時間は経ったのかもしれない。

寒くて冷たい地下は、朝になっても夜になっても、暗さは変わらない。

夢の事を思い出す。

何故、あんな夢を見てしまったのだろう。

私の心は、まだ何かに甘えているのかもしれない。


…もう、無理なのに。

目の前の鉄柵を見つめる。

私はもう逃げる事など、不可能なのだ。