簡単に口にできた言葉は、私のなかのなんだかよくわからないものが、拒んでいて。 それに支配されている。 なんだかもう、苦しい。 どうでもいい、と思えない。 言うと、マテンは私の髪から手を離した。 ドサ、と崩れ落ちた私を見て、マテンは満足そうに微笑む。 涙を零すことさえ悔しい。 「…檻に戻りなさい」 すぐに、息を荒くする私の腕を、男が掴む。 私は歪んだ感情を瞳に込めて、マテンを睨んだ。 マテンは、そんな私の目を見て、益々ニヤ、と嗤った。