月夜の翡翠と貴方



嫌なくらい、私のなかに残っている。

たくさんたくさん、『ルト』が残っている。


…突然のことで、いまだに少し実感がないくらい。

まだルトが、私の主人なのではないか、と。

私は、確かにあのとき捨てられた。

もうじきこの翡翠葛の名が変われば、私はついにルトのものではなくなる。

コレクションになってしまえば、私は本当に『マテンのもの』になってしまうだろう。


…苦しい。

息が、苦しい。

今、ルトは何を思っている?

何を見ている?

ああ、私がいなくなって、やっとひとりになれた、とでも思っているかな。

依頼が完了して、ホッとしているのだろうか。

…そんな皮肉が浮かぶなかで。


昨日のルトが、脳裏に焼き付いているから、困るのだ。

だから、自惚れて、ありもしない期待を膨らませてしまったのだ。