「…好みに合わなくても知らないよ」
「…いいよ。食べたいって思うの、それしかないから」
「………そ」
…やっぱり、おかしいよ。ルト。
ルトに買われてすぐのころと、まるで逆じゃないか。
ルトがふざけたことを言って、私が戸惑って。
繋がる右手が、急に恥ずかしい。
…苦しい。
とても、苦しい。
けれど、この苦しさはいつも感じるようなものじゃなくて。
少しだけ甘いのが、やけに苦しい。
思わず、唇を噛む。
あんなの、見せられたら。
ルトの頬の赤みが伝染するように、私の顔も熱くなった。
*
しばらく歩いていると、ルトが「あ」と声を出した。
何か見つけたの、と訊くまでもなく、そちらへ引っ張られる。



