ルトは私の荷物を持ってこちらに手渡すと、「行こうか」といつものように笑った。
*
川沿いの道を歩いて行くと、広い道に出た。
近くに昨日さまよったらしき森が見えるだけで、周りは山と草花だけ。
ルトが地図と格闘した末、どうやらちょうど森を抜けたところだったらしく、ふたりで安堵のため息をついたのだった。
「…どっか、食事できるとこないかなぁ…」
ぐう、と小さくお腹がなる。
ルトのつぶやきは虚しく、周りは民家すらない。
しかし、見渡せば畑くらいはあるのだから、探せば民家ならあるだろう。
次の街は遠いらしいから、この辺で食事をとりたいところだが。
「…あ、関所なら近い」
地図を見ながら、ルトが関所の方角を探す。
確かにディアフィーネの商人が他地域と交流を持つ関所は、様々な売買がされているとセルシアにきいた。
食べ物の売買がされていてもおかしくないだろう。
「西だな」
そう言うと、ルトはすっとジェイドの手を掴んだ。
「早く行こ。腹減った」
いつもの明るい笑顔。



