月夜の翡翠と貴方



長ったらしく伸ばした髪は、価値があるからと切らずにいる。

…もう、こんな思いとともに。


いっそ、切ってしまえたらいいのに。


「………………」

ルトは、静かにこちらを見ていた。

何かを言いかけて、けれどやめて。

しばらく繰り返して、やがて彼は「ジェイド」と呼んだ。


「……考えるなとは、言わない。忘れろとも、思わない」

私を傷つけないように、言葉を選んでくれているようだった。


「変われとも、苦しむなとも、………泣くな、とも、言わないけど」


じわじわと涙を溜めていく私の瞳を見て、ルトは目を細めた。


「…けど、ジェイドがいつまでも自分を傷つけてたら、たぶんみんな悲しいよ」


みんな、というのは、きっと私の家族と…………


「…もちろん、俺もね」


…私の、優しい主人。