月夜の翡翠と貴方



「…さすがだな、って思ったよ。ジェイドがお嬢様だったんだって、実感湧いた」

「そっか…」

「…どっかの知らない令嬢みたいだった」

「はは」

ルトは、突然話し始めた私に、少しばかり戸惑っているようだった。

ごめんね、…って、もう何度心の中で呟いただろう。

…令嬢か。

…ああ、でも。


「…私は、今は奴隷だから」

「…うん」

十八歳の私は、奴隷で。

どんなに良いご挨拶をしても、なんの意味もなくて。


「良いご挨拶だったね…って、褒めてほしい人も、もういないから」


…ねぇ、母様。

立派なひとになれなくて、ごめんなさい。

少しも優しくなれなかったし、母様が褒めてくれた髪だって、目の色だって…見世物になってしまった。

それが生きるために、というなら、仕方ないとは思うけれど。


「…私は、母様が望んだ子には、少しもなれてないなぁ………」


髪の一房を、指に巻きつける。