しかし、それをルトが止めた。
「…セルシア様のとこには、俺らが行きます。ノワードさんは、他の客人達を」
セルシアのことしか頭になかったのだろう、ノワードはハッとすると、周りを見渡してさらに青ざめ始めた。
「わ、わかりました…すみません、お嬢様をお願いします」
そう言うと、ノワードは貴族達のもとへ走っていった。
とにかく私達は、セルシアのもとへいかなくては。
「………ったく、あの猫かぶりは何を言ったんだよ」
ルトがため息をついて、中庭のほうへ駆け出す。
ロディーを見ると、ひとり自身の手のひらを見つめ、その場に立ちつくしていた。
*
「………セルシア様?」
呼ぶと、セルシアは泣きはらした瞳でこちらを見上げた。
中庭の奥。
花々と木々が入り組んだ、日の沈んだ夜の暗がりで、セルシアは静かに泣いていた。



