月夜の翡翠と貴方



しかし、それをルトが止めた。

「…セルシア様のとこには、俺らが行きます。ノワードさんは、他の客人達を」

セルシアのことしか頭になかったのだろう、ノワードはハッとすると、周りを見渡してさらに青ざめ始めた。

「わ、わかりました…すみません、お嬢様をお願いします」

そう言うと、ノワードは貴族達のもとへ走っていった。


とにかく私達は、セルシアのもとへいかなくては。


「………ったく、あの猫かぶりは何を言ったんだよ」


ルトがため息をついて、中庭のほうへ駆け出す。


ロディーを見ると、ひとり自身の手のひらを見つめ、その場に立ちつくしていた。







「………セルシア様?」


呼ぶと、セルシアは泣きはらした瞳でこちらを見上げた。


中庭の奥。

花々と木々が入り組んだ、日の沈んだ夜の暗がりで、セルシアは静かに泣いていた。