月夜の翡翠と貴方



セルシアもそれをわかっているから、苦しいと思いつつ、笑顔をつくる。

それは、それは美しく。


ふたりはお互いに挨拶したあと、それぞれに招いた客人たちへ挨拶に回っていった。

やがて全ての挨拶が終わったのか、セルシアがきょろきょろと周りを見渡し始めた。

こちらが軽く手を振ると、彼女は「あっ」と気づき、こちらへ駆け寄ってきた。


「そちらにいらしたのですね!よかったですわ、何かあったんじゃないかと思って」


間近で見ると、よりセルシアが美しく見える。

「いえ、今のところ問題ないです。セルシア様こそ、大丈夫ですか?」

訊くと、セルシアは「うーん…」と少し苦笑いを浮かべたあと、「まだ大丈夫ですわ」と言った。

「私、上手くできていました?」

「ばっちり。凄く自然だった」

「よかった」

ルトの言う通り、正午に起きたことなど微塵も感じさせない微笑みだった。


「お美しいです」


私が目を細めると、セルシアは少し照れたように「ありがとうございますわ」と笑った。






セルシアが私達から離れてしばらくすると、夜会のメイン、ダンスの時間になった。

貴婦人と紳士達が、ぞろぞろとパートナーと手を取り合う。