セルシアもそれをわかっているから、苦しいと思いつつ、笑顔をつくる。
それは、それは美しく。
ふたりはお互いに挨拶したあと、それぞれに招いた客人たちへ挨拶に回っていった。
やがて全ての挨拶が終わったのか、セルシアがきょろきょろと周りを見渡し始めた。
こちらが軽く手を振ると、彼女は「あっ」と気づき、こちらへ駆け寄ってきた。
「そちらにいらしたのですね!よかったですわ、何かあったんじゃないかと思って」
間近で見ると、よりセルシアが美しく見える。
「いえ、今のところ問題ないです。セルシア様こそ、大丈夫ですか?」
訊くと、セルシアは「うーん…」と少し苦笑いを浮かべたあと、「まだ大丈夫ですわ」と言った。
「私、上手くできていました?」
「ばっちり。凄く自然だった」
「よかった」
ルトの言う通り、正午に起きたことなど微塵も感じさせない微笑みだった。
「お美しいです」
私が目を細めると、セルシアは少し照れたように「ありがとうございますわ」と笑った。
*
セルシアが私達から離れてしばらくすると、夜会のメイン、ダンスの時間になった。
貴婦人と紳士達が、ぞろぞろとパートナーと手を取り合う。



