月夜の翡翠と貴方



互いに周りへ挨拶をしながら、少しずつ近づいていくセルシアとロディー。

そして向かい合うと、微笑みあって互いに挨拶を交わす。

セルシアもなんとか自然な微笑みをつくれているようで、安心した。


「…お似合いね…………」

「素敵…」


周りには、うっとりとふたりを見つめる貴婦人たち。

…セルシアは、自分には直ぐに見て取れるような長所があるとは思えない、と言っていた。

けれど今、こうやってロディーと並んだ時、他人から見てセルシアが見劣りするようなことは、全くないのだ。


「……セルシア様、凄いね」

そう呟くと、頭上から「そーだね」と声が返ってきた。

「…貴族は横暴なとこあるけど、多分個人の責任感だとかは、平民とは比べものになんないくらい、苦労してるんだろうな」

…きっと、リロザを見ていたら、ルトもわかるのだろう。

この豪華な世界で、個人の価値は他人が決める。

他人の評価が全て。

だからこそ横暴だといわれる貴族たちは、下らないとわかっていつつも、馬鹿みたいな見栄を張るのだ。