月夜の翡翠と貴方



リロザがコホン、とひとつ咳払いをする。

「…とにかく、私は今日ここの邸の一部屋に泊まるから、夜会のあと来てくれ。ジェイドさんだけ」

「お前ふざけんなよ」

「え…行ってもいいんですか?」

「ジェイド!?」

あくまで小声でのやり取りだが、私に対してとは少し違うルトが見れると、面白い。


「もし行けたら、ルトと行きますね」


私が微笑むと、リロザは「ああ」と笑った。


「ムクギに、後で部屋の場所を教えるように伝えておく」

「はい」


リロザが軽やかに去っていくと、ルトがこちらを不満げに見てきた。

「…本気で行くのかよ」

「もちろん」

「…お前ら、お互いのこと相当気に入ってるだろ」

気に入っている、というか、純粋に人柄が好きだ。

少し情けないところはあるが、責任感もあり、良識もある。

初対面の際に、運命やらなんやら言われた時は変な貴族だと思ったが…

今は、身分差を感じさせず、物事を公平に見る彼の態度には、素直に感心する。

ルトよりは、だいぶまともな人間だと思うが。