月夜の翡翠と貴方



「ちょっと色々あってさ。今、セルシア様の召使いやってんの。お前気づいたら騒ぐだろ。だから、先に言っておきたかっただけ」

「い、色々って…」

…リロザが動揺するのも、仕方ないと思うが。

こんな貴族の舞踏会で、平民以下に等しい友人を見かけ、しかも召使いなんてしてるとなったら、誰だって驚く。

「…すみません。まさかリロザさんが来ているとは思わなくて。ご迷惑はかけませんから、気にしないでください」

私が謝ると、「い、いや…」と彼は顔を赤くさせて、うろたえた。

「…いや、偶然にしろ、こちらもまた会えて嬉しい」

そして、実に美しい微笑みを向けられる。

「おい、なんでジェイドにはそんな優しいんだよ」

ルトが睨むと、リロザも睨み返した。

「…何があったか知らんが、変な騒ぎは起こすなよ」

「起こさねーよ」

…ルトはリロザに対して、比較的強く出るな、と思った。

なんだか口調が荒いと言うか、もしかしたらこれもルトの一面なのだろうか。