月夜の翡翠と貴方



「…ほ、ほんとにいる」

「な。考えてなかったよ。そーいやあいつ、貴族の子息だったなぁ」

それは流石に、大袈裟だとは思うが…

ルトは微かに向こうへ手を振る。

あまり下手な行動をとると周りに不審がられるので、大きな動きは出来ない。

少しの間、ふたりしてリロザに視線を送ってみる。

すると、ふとこちらを見たリロザが、目を丸くした。

どうやら、気づいたようだ。

ルトと目が合っているらしいリロザが、口をぱくぱくとさせてこちらを見ている。

ルトがこちらへくるよう手招きすると、リロザは周りをきょろきょろと見渡して、こちらへ向かって歩いてきた。

やがて私達の前に来ると、やっと私の存在に気づいたのか、益々驚いた顔をした。


「なっ……なにをしている!?」

周りを気にしながら、小声で声を荒げるリロザ。

約数日ぶりだが、ミューザの街を出る時に彼は見送りに来れなかったから、また会えて嬉しく感じた。

ルトも小声で、「落ち着けよ」と言う。