月夜の翡翠と貴方



ガチャ…………

そんな音と共に目に入ってきたのは、眩しいほどに輝くシャンデリアの明かりだった。


そして目に映るのは、綺麗なドレスを見にまとった、令嬢、淑女。

正装姿の、紳士達。

いくつものテーブルに置かれた豪華な食事、高い天井に、細かな装飾が施された内装、シャンデリア。


「……………っ」

自分は今召使いで、ここにいる貴族達の目には、全く映らない存在だというのに。

薄れていた記憶が、一気に蘇る。

目を閉じてしまいそうになる。

けれど。


「ジェイド」


そう、優しく名前を呼んでくれるルトがいるから、私は今を信じることができる。

「…うん」

私とルトは、一歩踏み出した。







ざわざわと、貴族達の談笑が飛び交う。

私達は、扉の近くの壁にそばに立っていた。

夜会が本格的に始まり、なんとかこの光景にも慣れてきた。