主役は大体、皆に迎えられて登場するものだ。
「わかりました。ロディー様は?」
「私と同じタイミングで、別の入り口から入ることになっています」
「りょーかい」
ルトがそう言うと、セルシアは美しく一礼した。
「よろしくお願います」
「ん」
顔を上げると、彼女は微笑んでその場から去っていった。
「…いくか」
もう月が、真っ暗な空の真上に昇る時間。
先程窓の外を見るみると、満月だった。
「うん」
扉の前に立ち止まると、ルトは私の頭を軽く撫でた。
「約束、ちゃんと覚えてるか?」
邸へくる途中に交わした、ルトとの約束。
私は「うん」というと、その約束を確認するように、言った。
「ルトから、離れないこと。きつくなったらすぐ言うこと。…明るい思考で、頑張ること」
「ん」
ルトの深緑が細められる。
大丈夫。
私は…一歩、進むのだ。
逃げるのではない。目を背けずに、進むのだ。
「開けるぞ」
ルトとふたりで、扉を開ける。



