月夜の翡翠と貴方



見方ひとつで、全く違うものになる。

全てをなかったことにして、変わることなんて赦されないけれど。


「…少し、気が楽になった。ありがとう」


笑って礼を言うと、ルトは明るく笑い返してくれた。


「…夜会、がんばろうな」

ルトの深緑が、強く私の橙を見つめる。

私は、その瞳からそらさずに、返事をした。


「うん」


ルトが、いるから。

きっと、大丈夫。






「…こちらですわ」


美しい純白のドレスを着たセルシアが、私達を廊下の奥の大きな扉へ促した。


もうすぐ、夜会が始まる。

セルシアが指した扉は、夜会のある建物への入り口だ。


「私は夜会が始まって、少し経った頃に行きますわ。それまで、適当に扉付近にいてくださると助かります」

なんせ主役だ。

もう夜会の会場には、双方の家から招かれた貴族たちが、集まって談笑しているころだろう。