月夜の翡翠と貴方



ルトは前を向いたまま、話し始めた。

「…嫌な気分にさせたりしたら、申し訳ないんだけどさ」

「いいよ。言って」

ルトは、なにを思ったのだろう。

私がぎゅ、と握る手の力を強めると、ルトは少し口元に笑みを浮かべた。

…大丈夫だから。

話して。

そう思いを込めてルトを見つめると、彼は「あのさ」と真剣な瞳をした。


「リズパナリの当主は…お前を生かしておくために、お前をナタナに売ったんじゃないかな、って思ったんだよ」


……生かして、おくために…?


「俺の完全な憶測でしかないけどさ。わかってたんじゃないかなーって。当主は。…自分達が、路頭に迷うことになって、苦しむ事」


眉を寄せながら話を聞く私に、ルトは優しく目を細める。