月夜の翡翠と貴方



そしてこちらを振り返ると、静かに私を見据えた。


「……ジェイド」

びく、と、思わず肩が震える。

見ると、彼の目は苦しそうに揺れていた。

「…お前の名前は、ジェイドだ。俺が名付けたんだから、自分には相応しくないなんて、思うなよ」

「………うん」

情けないな、と思った。

気を遣わせている自分が、何より情けない。

大丈夫だと、思ったのに。

「……ごめんね…………」

思った以上に、両親と兄の死に、ショックを受けている自分がいる。

そしてその中で、私が変わろうとしていることも。


「……なぁ、ジェイド」

優しい声がしてそちらを見ると、ルトはこちらへ手を差し伸べていた。


「…少し、歩こうか」


憂いに満ちた、笑み。

私はその手をとると、「うん」と返事をして、歩きだした。






「俺さ、さっきのレグートの話聞いてて、思ったことがあるんだよ」


手を繋いで、古びた建物と、荒れた草花ばかりの道を歩く。