月夜の翡翠と貴方



すると、レグートは私達を見て、目を細めた。


「ジェイド、か…君には、綺麗すぎる名じゃないかい」


「黙れ!」

…ああ。

その名前を、否定されてしまったら。

当たり前だ。こんな私には、相応しくない名前だ。

それなのに、ルトは声を荒げてくれる。

ルトは鞘から剣を抜くと、レグートに切っ先を向けた。


「それ以上言ったら、斬るぞ」


レグートは「恐ろしいね」と笑いながら、一歩後ろへ下がった。


「…せいぜい、苦しむといいよ。貴女はこれから、もっと深い闇へ沈んでいくのだから」


そう告げて、レグートはその場から飛び退くと、機能しなくなった街灯の上に降り立った。

そして、そのまま私達へ背を向けると、一瞬で消えた。

見ると、細身の男も消えている。


「…………………」

少しの間ルトは辺りを見回していたが、もうなにもないと判断すると、ふぅ、と溜息をついた。