月夜の翡翠と貴方



その言葉に、唇を噛む。

両親と兄の顔が、瞳の裏にちらつく。

…私だけ。

生きて、なおも変わろうとしている。

…私、だけ…………


「やめろ」


また暗い思考へ落ちようとしていた私を、その強い声が引き戻した。

ルトは、真っ直ぐにレグートを見ていた。

「過去は過去だろ。いつまでも囚われてたって、仕方がない」

レグートはルトを見て、ハ、と笑った。


「それは、光の下で生きる人間にのみ、許されることだ」


…そうだ。

もう私は、深い闇の底で生きる人間だ。

…簡単に赦されるはず、ない。

唇を噛み締めた私を見て、レグートは薄く笑う。


「マリア…君は、本当に愚かだね。狂いながら死んでいった、両親のように」


…………え?

レグートの言葉に、目を見開いた。


「死んで…いった…………?」


目を見開いたまま凝視する私に、彼はやはり皮肉げに笑う。