月夜の翡翠と貴方



「………そっか。それならいいんだけど」


ルトは、嬉しそうに笑っていた。


…ああ。そうだ。

…私が変わり始めているのだとしたら、間違いなく原因は…


「…ルト」


呼ぶと、優しい目をして振り返る。


…この、主人だ。


そう思ったところで、ルトが立ち止まった。

その目は、近くの木々に向けられていて。

「…ルト?」

どうしたの、と訊いても、溜息しか返ってこない。

…なにか、あるのか。

変に思って木々に目を向けた、その時。


「友人どのは、なかなか鋭いな」


…後ろから、声がした。

この声は…

直ぐに振り返ると、案の定、無精髭を生やした男の姿が、私の数メートル先で見えた。


「…レグート…」


つぶやくと、目を向けていた木々のほうから、ガサガサと葉の散る音と共に、もうひとり細身の男が飛び降りてくる。