月夜の翡翠と貴方



「俺が言っといて何だけど、難しいよなぁ」


再会早々、キスするような男だ。

紳士とは程遠いロディーが、何故セルシアを気に入ったのかも気になる。

「…うまくいくといいね…」

「ん」

そのためには、今日の夜会が重要だ。

上手くセルシアの背中を押せるよう、頑張らなくては。

私は歩きながら、強い瞳で前を見た。


「私、がんばる」


セルシアのためにも、自分のためにも。

すると、ルトが驚いたような顔をしてこちらを見てきた。

「な、なに…」

「いや、ジェイドもそんなこと言うんだと思って」

「………………」

…ああ。


「………そう、だね…」


今までの私なら、きっとこんなこと言わなかった。

明るい方向へいくために、自分が努力しようと、思わなかった。

消極的で、せめて悪い方向にはいかないようにと、最低限のことしかしなくて。