「…夜会、がんばれそ?」
セルシアはすくっと立ち上がると、堂々とした声色で「もちろんですわ」と言った。
*
『日が沈む頃に、もう一度邸へいらしてください』
なんでも色々と準備があるそうで、外まで見送りに来てくれたセルシアは、そう言うと邸へ戻って行った。
日が沈むまでは、村で自由にしていて良い、ということなのだろうが…
「なにもねーからなぁ、この村」
下層への階段を降りながら、ルトが呟く。
そうなのだ。
ディアフィーネは、本当に何もない。
必要最低限の建物さえないのだから、一体どこで暇をつぶせというのだろう。
まだ昼過ぎくらいだから、日が沈むまではかなり時間がある。
階段の最後の一段を降り終えると、ルトが「大丈夫かなー」と明るい調子で言った。
「なにが?」
「ロディー様。あれ結構面倒そうな性格してるじゃん。セルシア嬢は頑固そーだし、大丈夫かなーって」
確かに。
セルシアがロディーを好きになればいい、なんて、結構大変かもしれない。



