月夜の翡翠と貴方



セルシアは、美しく着飾った姿で「わかってるわよ」と言った。


翌日の午前。

宿とオリザーヌの邸を行き来していた婚約者一行は、今日の昼正式にセルシアと会うらしい。

私とルトは、召使いの格好に着替え、部屋の壁のそばに立っていた。


目の前の着飾ったセルシアは、とても綺麗だ。


「おふたりがすぐ近くにいてくださるんですもの。失敗などいたしません」

こちらを見て、セルシアは堂々と言い放つ。

「それならば良いのですが」

そう言うとノワードは、用があるので、と言って部屋から出て行った。


「…………大丈夫ですか?」

しんと静まった部屋で、私はセルシアに声を掛ける。

少し間をおいて、彼女は「…大丈夫よ」と、少し下がった声色で返事をしてきた。

「…本当に大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫ですわ。ええ、私はこの日のために、今まで努力してきたのですもの。大丈夫よ、私ならやれるわ」

まるで自分に言い聞かせるかのようなその口調に、不安になってくる。