月夜の翡翠と貴方



それでも、私はルトに買われた。

だから私は、ルトのもの。

それはまるで単純で、けれどとても狂おしくて。


「俺が買ったんだ。だから、俺がこいつを手放さない限り、あんたらに手出しはさせないって言ってるんだ」


剣は、レグートの目の前にあるまま。

ルトが引かないと判断したのか、レグートはふぅ、と息を吐いた。


「………とんだ友人どのがいたものだ」


その言葉に、ルトの口角が微かに上がる。

それを見たレグートは、私へ視線を向けた。

目が合うと、レグートはフ、と笑う。

「…貴女の罪は、重いよ。貴女もわかっているはずだ。…このままでは、下がらないからね」

瞳の奥に鋭い黒光りを感じて、一瞬鳥肌がたった。


「……マリア。もう一度貴女に声をかけるのは、その醜く哀れな生き様を、しばらく見てからにするよ」


言葉と声色にこちらへの確かな嫌悪をにじませて、レグートはそう言った。

そして、さっと身を翻してテラスを出る。

「友人どのがやってくれた、後始末をしなければならない。面倒だな」

そう言い残し、細身の男と共にレグートは階段を降りて行った。