戸惑うと同時に身構えると、男達は私のテーブルの前に立った。
口元に微笑が浮かんでいる図体の大きな男が、静かにこちらを見据える。
「…何か…」
「やっと見つけた」
御用ですか、と訊こうとして、遮られた。
見つけた…………?
眉をひそめる私を見て、男はニヤ、と笑う。
そして、私を嘲笑うように、皮肉げにその言葉を口にした。
「…やっと見つけたよ。矢の挨拶は、残念ながら貴女に伝わらなかったようだがね。……初めまして、『マリア・リズパナリ』」
…薄暗いテントのなかで、私は確かに捨てたのだ。
引き裂かれたはずの、その名を。
*
店員だという男について行き、カウンターの前へ行く。
しかし、男の歩みは止まらない。
俺に用があるという人間は、カウンターにいるのではないのか。
「来てください」
相変わらず、にこにことしている男。
戸惑いながらも、足を進めた。
振り返りカウンターへ目を向けると、布でグラスを磨く店員が見える。
その店員は俺の視線に気づくと、不自然に気まずそうな顔をして、俺から目をそらした。



