「………眠く、ならない。しばらく起きとく」
「そ?」
テント越しに、ルトがかすかに笑っているのがわかる。
私は目を細めると、テント越しに彼の影を見つめた。
「……………………」
...会話はなく、静かだった。
でも、この雰囲気が好きでもある。
…何も、言わない。
この気持ちは、もう伝えない。
そう決めたから。
この雰囲気に、心地よく目を伏せるぐらいは、許してもらえるだろうか。
*
もう一晩テントで寝て、昼前に着いたのは、小さな村だった。
古ぼけた村の看板には、かすれた文字でかろうじて読み取れる【ディアフィーネ】という村の名前。
今に崩れそうな門をくぐると、私とルトは目を見張った。
「…なんだ、ここ…………」
呆然と、ルトが呟く。
辺りを見回し、目に映るのは、活気をなくした村の様子だった。
路上には、生気を失った瞳でうずくまる村人の姿が、ちらほらと見え。
村に点在する店や家は、古ぼけ、朽ち果てそうになっている。
道を歩く者は、今にも倒れてしまいそうなほど、ふらふらとしていた。



