月夜の翡翠と貴方



「一応、剣持っとく。いつ来るかわかんないし。利き腕は傷なくてよかった」


そう言って笑うルトの表情は、痛みに耐えているのがわかる。

出血量も多く、もしかしたら傷は深いのかもしれない。


「…うん」


何もできない自分が悔しい。

ただ、守られているだけしか出来ない。


「次に通る村、結構遠いんだ。そこで傷見てもらう。道中あんま休めないかもしれないけど、いい?」

「全然構わない」

「ありがと」

今は、何よりもルトの傷の治療が先だ。


それからは、ひたすらに歩いた。

夜になると、テントのなかで、ルトは布地を傷口に巻いた。

傷の具合を心配していると、彼は夜中外で見張りをすると言い出した。

「寝ないの?」

テントのなかから訊くと、「うん」と返事が聞こえて来た。

「一晩寝ないくらい慣れてるよ。気にしないで寝てて」

「……………」

森の木々の間から差し込む、月明かり。

....なんだか、このまま自分だけ寝るのは嫌だった。