月夜の翡翠と貴方



直接的か関節的、いずれにしろ、ルトは貴族間の権威争いに関わっているのだ。

執拗な恨みを買ってしまっても、おかしくないだろう。


ルトが浅い息を吐いて、腕を押さえる。

そこでひとつの可能性が思い当たって、ぞっとした。


「ど、毒とか塗られてるんじゃ…」


毒を確かめようと、矢に触れようとした。


「触るな!」


すると出された厳しい声に、思わずびくっと身体が震える。

私の様子に、ルトは「ごめん」と謝ってきた。

何も言えずにいると、ルトが膝をついて、矢を地面から抜くと、先を見る。

「…毒は、塗られてないよ。大丈夫」

いつもの仏頂面を保てずに、複雑な感情を顔に露わにしてしまう私の頭を、ルトは優しく撫でた。


「巻き込んでごめんな」


ルトは立ち上がると、右腕で剣の柄を持った。

そして、鞘から抜く。

リロザの依頼の前に、鍛冶屋で買ったもの。