月夜の翡翠と貴方



ルトは、何か危険があると感じ取っていたのだ。

私を守るために、抱きしめて。

「…ごめん…」

痛々しい傷。

私が俯くと、ルトは笑って「いいよ」と返してくれた。


「…気づいて良かったよ」


少し低い声で、ルトが辺りを見回す。

負傷していない右腕は、まだ私の腰に回ったまま。


「……なんで…矢が…」


呆然と、地面に突き刺さった矢を見つめた。


「…俺を狙ったか、ジェイドを狙ったか。お前、恨み買ってるような相手いる?」


恨みを…

「……わからない。いないとは言い切れないと思う」

今までの主人のなかで、もしかしたら知らずに恨まれていたかもしれない。

いない、とは言い切れない。


「…まぁ、俺の可能性が高いだろうな。こーゆーのは、初めてじゃない」


もう危険はないと判断したのか、ルトの右腕が離れる。