月夜の翡翠と貴方



しばらくして、強く抱きしめられていた腕の力が弱まると、ルトの左腕に目がいった。

何かに裂かれたような布地の隙間からは、確かな傷が見え、その傷口からは赤く血が出ている。


すぐさま右の地面を見ると、矢が一本、地に深く突き刺さっていた。


…矢が、飛んできた…?


「…っルト、大丈夫!?」


ルトの腕の傷口からは、真っ赤な血がたらたらと流れ出て、布地に染みを作り始めていた。

染みはどんどん大きくなっていく。

ー…何故、矢が飛んで来たのか。

状況についていけず、頭が混乱している。

「…大丈夫だよ。かすめただけだから」

ルトは大きく息を吐くと、周りに鋭い視線を向けた。

「ジェイドは、怪我ない?」

「ない」

思わず、声が震えた。

浅く息を吐いて、ルトは左腕を抑え、痛みに耐えている。

「よかった」

それなのに、私に向けられた安堵の表情は、とても優しいものだった。