月夜の翡翠と貴方



後悔していると、隣を歩く肩が突然ぴたりと止まった。

不思議に思って振り返ると、ルトが難しい顔をして立ち止まっている。

「………………」

周りを見渡し、辺りの気配を探っているようだった。

その目は少し、鋭い。


「………どうか、した…?」


訊くと、ルトは横の木々に目を向けながら、「うん」とだけ返事をした。

「…ジェイド、ちょっとこっち来て」

彼との距離はさほどないが、言われた通りそちらへ向かう。

そばまで来ると、ルトは私の後ろや横の木々などに、鋭い視線を向けた。

「………なにか、あるの?」

この目は、リロザからの依頼のとき、敵であった男達に向けていた目とよく似ていて。


「…………ん」


この返事は、肯定の意なのか。

…ルトはこの木々に囲まれた空間から、何を感じ取ったのだろう。

訝しげに彼を見上げていると、私から見て左側の木々に目を向けていたルトの瞳が、突然に見開かれた。


「ジェイド!」


声に驚くと同時に、腰に手が回り、顔が胸に押し付けられた。

抱きしめられた、と気づいたときには、右からシュッと風を切る音が、耳に入った。


「いっ!………てぇ...」


頭上から、ルトの悲痛な声が聞こえる。


何が起こった?


顔を上げると、痛みに歪められたルトの顔が見えた。