その表情から、ぱっと目を逸らした。
...なるべく、なるべく見ないように。
また、何を口走ってしまうかわからない。
もう、同じ失敗は繰り返さないようにしなくては。
前を向き続ける私に、ルトは少し不思議そうな顔をしながら、話を続けた。
ルトが話をして、私が時折相槌を打つ。
それはいつもと変わらないのに、私がルトを見上げて話を聞くか…それだけでも何か違う、と感じた。
それは、奴隷と主人であると割り切り、ルトを必要以上に視界に映さなかった、初めの頃の私達のようで。
平坦な口調で返事をし、感情の浮き沈みが、表情に見て取れない。
....そんな、まだ『ファナ』だった頃の私のように。
きっと、ルトも気づいているだろう。
けれど私は、目を逸らす。
…これで、良いのだ。
ルトが訝しげに私の様子を伺っているのは、声色でわかった。
彼は、近くの者の小さな変化に気づきやすい。



