月夜の翡翠と貴方



背中を合わせて、眠る。

野宿のときなどは、毎回そうやって寝ていたから。

優しい雰囲気が、心地良い。

ここ数日、感じていなかったから。


「おやすみ」


ルトの声で、目を閉じる。


…優しい、夜だった。








朝。

宿を出て、馬車に揺られる。

昨日よく眠れたせいか、気分が良い。

馬車から外を眺めていると、視線を感じた。

そちらを向くと、リロザがこちらを見ていた。

「…どうかしました?」

「…あ、いや…」

すまない、と謝られる。

「どうかしたのか、と聞いておられるのですよ、ジェイド様は」

リロザの隣に座るムクギが言うと、リロザは「あ、ああ」と情けなく返事をした。

「いや…見惚れてしまってな」

「え?」

リロザが、控えめに笑う。