月夜の翡翠と貴方



けれど、眠気に負けた私の心には、素直な言葉が浮かんだ。

唯一残った理性が、それを口にするのを止める。

…言っては、いけないこと。


ふ、と笑う私に、ルトが少しむっとした顔をした。

「何。なにが嬉しいんだよ」

そして、私の顔を覗き込む。

私はふふ、と益々笑った。

「なんでもないよ」

「なんでもなくないだろ」

そんな風に笑うのは珍しい、とルトが言う。

「そう?」

「そうだよ。なんで笑ってんの」

「さぁ」

嬉しいんだよ。

心の中で呟く。

ルトはこちらを訝しげに見たあと、ふう、と溜息をついた。


「…また、わけのわからん行動をするなよ」


困ったようなその表情に、私は首をかしげた。

「また?」

「そ。また」

そういいながら、ルトの指が私の右頬に触れる。