月夜の翡翠と貴方



やはり、あんなこと言うべきではなかったかもしれない。

『どうしようもなく愛しいご主人様』なんて。

自分で言っておいて恥ずかしい。

しかも、ルトからなんの反応もないのが、さらに恥ずかしい。

いや、反応されたらされたで、どう返せばいいのかわからないが。

私自身、正直何故あんなことを言ったのか、わからないのだ。

男に隙を作るため、というのはある。

けれど……………

どさ、と寝台に横になる。

静かに、目を閉じる。

…もしかしたら、ルトがなんの反応もしないのは、私の発言を本気と受け取っていないのかもしれない。

それこそ、私が先程言った言い訳のように、思っているのかもしれない。

自分のことだと、思っていないのだ。きっと。

そう結論づけると、急な眠気が襲ってきた。

.....素直に、疲れた。

ルトは、部屋に来ない。

もう、このまま寝てしまおうか。

そう思い、意識を手放そうとした、そのとき。

部屋の扉が、キィ、と開いた。


「ジェイド」


優しい、声がした。

足音が、近づいて来る。