月夜の翡翠と貴方



「それは、私も気になっていたのだが」

「あー…」


見ると、ルトはこちらを気にもせず、目の前の食事を頬張るばかりだ。

それに少しむかついて、私は問われたときのために、自前に考えていた言い訳を口にした。

「よく言われるんですよ。売り飛ばしてやろうかって。下手に嫌だって言うと、相手はつけあがりますから。むしろ主人がいますって言った方が、早いんです」

淡々とした私の言葉に、リロザが「なるほど」と納得してくれた。


「大変だな。良い容姿を持つと」


笑って流す。

ルトはやはり、こちらを見ない。

.....溜息が、出そうだった。






食事が終わり、部屋へ入る。

昨日と同じ宿なので、部屋のつくりは変わらない。

テラスから、月明かりが射している。

寝台に座ると、昨日の夜のことを思い出した。

「……………はぁ」

ひとり、部屋で溜息をつく。