「どうか、契約だけは通していただけませんか。これからは、このようなことがないように致します」
誠実なムクギの態度に、ユティマが顔を赤らめながら「絶対よ」、と言った。
「今度こんなことがあったら、そのときは絶対に契約切ってやるから!いいわね!?」
そうリロザに向かって、人差し指を向ける。
「あ、ああ。わかった」
貴族に対して、こんなにも強く意見する平民は初めて見た。
それほどまでに、エルフォードにとってユティマの店は大事なのだろう。
彼女はしっかりクリセリカの入った木箱を受け取ると、店へと戻って行った。
そして、リロザがふぅ、と息をつく。
「帰るか」
帰りの馬車は、とても穏やかなものだった。
*
「依頼完了後の酒は美味いわねぇ」
帰りの宿。
食事の席で、ミラゼが酒をリズム良く飲み干して行く。
リロザはそんなミラゼに、「そんなに飲んで大丈夫か」と呆れた目で言っていた。
ミラゼが「だーいじょうぶよ」と返事をすると、リロザは急にその顔を真剣なものに変えた。



