月夜の翡翠と貴方



「どうか、契約だけは通していただけませんか。これからは、このようなことがないように致します」


誠実なムクギの態度に、ユティマが顔を赤らめながら「絶対よ」、と言った。

「今度こんなことがあったら、そのときは絶対に契約切ってやるから!いいわね!?」

そうリロザに向かって、人差し指を向ける。

「あ、ああ。わかった」

貴族に対して、こんなにも強く意見する平民は初めて見た。

それほどまでに、エルフォードにとってユティマの店は大事なのだろう。

彼女はしっかりクリセリカの入った木箱を受け取ると、店へと戻って行った。

そして、リロザがふぅ、と息をつく。


「帰るか」


帰りの馬車は、とても穏やかなものだった。






「依頼完了後の酒は美味いわねぇ」


帰りの宿。

食事の席で、ミラゼが酒をリズム良く飲み干して行く。

リロザはそんなミラゼに、「そんなに飲んで大丈夫か」と呆れた目で言っていた。

ミラゼが「だーいじょうぶよ」と返事をすると、リロザは急にその顔を真剣なものに変えた。