月夜の翡翠と貴方



「リロザ」

呼ばれたリロザは、私の横で、びく、と肩を跳ねさせた。

「な、なんだ」

ルトは、静かに、淡々と言う。

「これからこいつと、店内にいる奴等を縛る。ムクギと、店の外にいる役人を探してきてくれ。早いとこ牢にいれておきたい」

「あ、ああ」

リロザは返事をすると、早々に部屋を出て行った。

「それと、ミラゼ。縄を馬車から持ってきて」

「はいはい」

ミラゼも軽い足取りで、部屋を出て行く。

「………………」

静まり返った部屋の中。

すると、見張られて身動きのできない男が、納得の行かない顔でこちらを見てきた。


「…嬢ちゃん、あんたさ」


彼は脇腹を押さえながら、浅く息をしている。

しかし、男が話す事も許さないと言うように、ルトが剣の切っ先を動かした。

男が、うお、と顔を青ざめさせる。

「……ルト。いいよ、喋らせて」

私がそう言うと、ルトは溜息をついて、「へいへい」と言った。