月夜の翡翠と貴方



........私は、汚い。

それなのにルトは、私を綺麗だと言った。

苦しみに揺れた、深緑で。

....見惚れてしまったんだ。

とても、とても綺麗だと。

彼の深緑が、とても綺麗だと。

離さない、とでもいうように、私を真っ直ぐに見つめたその色に、とてつもなく惹かれた。


…ルト。


私は扉の前にいるルトに聞こえるよう、強く大きな声で「お誘いにのりたいのは山々なのですが」と言った。


「…けれど私には、もういるんです」


男を強く見つめ。

私は、美しく微笑んで。


「離れたくても離れられない、どうしようもなく愛しいご主人様がね」


男の目が、見開かれる。

その瞬間、私は膝を折り、態勢を変え、顔を男の腰辺りまで下げた。

そして、鞘からナイフを抜く。

そのまま、男の脇腹に突き刺した。

わずか、数秒。

「…っぐ…っ」

頭上から、男のくぐもった声が聞こえる。