月夜の翡翠と貴方



ルトの顔が、おもむろにこちらへ近づいてきた。


………綺麗な、深緑。


上手く、思考がついていかなかった。

自然と、目をつむる。


「…………………………」

…?

少し経っても、何もない。

浅く目を開くと、私の首元に顔を近づけたルトが見えた。

…え。

こちらの視線に気づくと、ルトはそのまま私の首筋へキスをした。


「……………ル、ト」


なんだろう。

この、とんでもないはずかしさは。

ルトは顔を上げると、私を見てニヤ、と笑った。


「期待した?」


な。


「……………!」


.....自分でも、わかる。

一気に、顔が赤く染まるのが。

最悪だ。

「………………………」

そんな私の焦りとは裏腹に、何故かルトは呆然とこちらを見つめていた。