月夜の翡翠と貴方



そして、ドサッと乱暴に、私を寝台へ降ろした。

「ルッ…………」

ギシ……

ベッドが、軋む音がする。

ルトの名前を呼ぼうとして、呼べなかった。


押し倒されたのだ。


もう一度呼ぼうとして、けれど声にならない。

彼の瞳は、冷たくこちらを見下ろしていた。

けれど、怖くはなかった。

少しだけ優しくて、…どこか、悲しそうな目。

…ああ、この目、いつかに見たことがある気がする。

ぼうっと彼を見つめる私を見て、彼は自嘲するようにニヤ、と笑った。


「幻滅した?」


……え?

「幻滅…………?」

意味がわからないという顔をすると、はは、と笑われた。

「正直に言っていいよ。ミラゼから聞いただろ。俺がどんな奴か」

あ………………

ミラゼから聞いたルトには、確かに驚いた。

....けれど。

「……して、ないよ」

ルトの目を見てはっきりと言うと、またも彼は薄く笑う。