月夜の翡翠と貴方



もちろん善意でもなければ、悪意でもない。

いうなれば、いたずら心。

少しでも彼女を信じた私が馬鹿だった。


ルトはもう一度ミラゼに溜息をつくと、こちらを見た。

思わず、喉がなる。


「……ル、ト………」

彼はなにも言わず、私の手を掴んだ。

そして、早々にテラスから出る。


「…ル、ルト……っ」

掴む手の力が強くて、少し痛い。

怒っている。

顔だけ後ろへ向けると、意味深に微笑んだミラゼが、こちらへ手を振った。

ああ、もう。

聞かなければ良かった。

まんまと、ミラゼにしてやられたのだ。





私達の部屋へ入る。

ルトは私の手を引っ張り、寝台のほうへ向かった。