もちろん善意でもなければ、悪意でもない。
いうなれば、いたずら心。
少しでも彼女を信じた私が馬鹿だった。
ルトはもう一度ミラゼに溜息をつくと、こちらを見た。
思わず、喉がなる。
「……ル、ト………」
彼はなにも言わず、私の手を掴んだ。
そして、早々にテラスから出る。
「…ル、ルト……っ」
掴む手の力が強くて、少し痛い。
怒っている。
顔だけ後ろへ向けると、意味深に微笑んだミラゼが、こちらへ手を振った。
ああ、もう。
聞かなければ良かった。
まんまと、ミラゼにしてやられたのだ。
*
私達の部屋へ入る。
ルトは私の手を引っ張り、寝台のほうへ向かった。



