月夜の翡翠と貴方



「…それで、それが俺らに依頼するのとなんの関係があるんだよ」


心なしか不機嫌なルトの声に、リロザが「ここからが本題なのだ」と言った。

「その店との契約が、他の貴族の干渉によって切れないよう、実の受け渡しは毎年内密にしているのだがな」

しかし最近、エルフォードの近辺や内部を調べ、エルフォードの地位を落とそうとする者がいるらしい。

「輩の調べがどこまで及んでいるかは知らないが、もしかしたらの可能性がある。私は忍びで行くからな、あまり家の者をぞろぞろと引き連れたくないのだ」

その大事な取引にリロザが行くのも、当主が行っては目立った行動で怪しまれてしまうのだろう。

今、地位的に最も背負うものが少ない、次男の彼が行くのが良いということか。


「…………それで護衛、か」


ルトがふぅ、と息をつく。

「一応、エルフォードの機密だ。だからこそふたりに頼んでいるのだぞ」

ルトとミラゼが、照れ臭そうなリロザを見て、笑った。

つまりは、信頼している、ということだ。