月夜の翡翠と貴方



ミラゼが、眉を寄せる。

「どういうことよ、それ」

もっとわかりやすく説明してちょうだい、というミラゼの言葉に、リロザが困ったような顔をした。


「悪いが、少し我慢して聞いてくれ」


その店は、先代が契約するころから、小さな小さな店だった。

今も女店主ひとりで店を経営している。

そんな店が、何故エルフォードと契約しているのか。

それは、その店が取り扱う絹織物にあった。

その絹織物は、その店が代々独自の方法で作られたもので、他のところでは見られない質があった。

しかし、その店はあまり儲けを重視しておらず、街でひっそりと運営されていた。

そこへ偶然エルフォードの先代の当主が訪れ、その絹織物に目をつけたらしい。

「先代はすぐに契約を持ちかけた。当時はエルフォードも今ほど大きくはなかったが、だいぶ有名な家だった。しかし、その店は契約を断ってきた」

あまり貴族と関わりたくないやら、今まで通りひっそりと、知りあいに売るぐらいで良いと言って、断固として拒否したらしい。