月夜の翡翠と貴方



横にいる店員が、ジェイドを見て優しく目を細めた。


「お綺麗ですね。どうですか?」


店員にそう訊かれ、不安気な顔をするジェイドを見つめる。

そして、柔らかく笑った。


「……………うん。今までで、いちばん良い」


...ジェイドの顔が、少しだけ明るくなったのがわかった。

そういうところに、いちいち気づいてしまう。

...ろくな感情が浮かばないというのに。


「えっと…なんで、これがいいと思ったの?」

嬉しさを隠すように、彼女は質問を投げかけてきた。

見た瞬間に、試着を頼んだのは初めてだったが、やはり正解だった。

今までのどんなドレスより、ジェイドに似合う。

あくまで俺の見立てだが、『しっくりと』きたのだ。

何より色の範囲が狭く、目立つ部分が少ない。

ジェイドの髪の色が、よく映える。

そして何より、ドレスの色と合うのだ。


....彼女の、瞳と。


「...お前の、目の色だよ」

「目?」

「うん。橙のその目」

そこで、彼女がああ、と納得した。

そのドレスは、ジェイドの瞳の橙によく合っていた。