月夜の翡翠と貴方



きっと、この店が最後。

さすがにルトも、疲れてきていた。

まだドレスさえ決めることができていない。


「もしかしたら、靴とかは明日に回すかもな…」


ルトが遠い目をして、はは、と乾いた笑みをこぼす。

店へ入ると、優しそうな女店員がいらっしゃいませ、と言った。

この店は、今までの店と比べて小さなところのようだ。

全体的に自然な雰囲気になっていて、ドレスも目立つくらい派手なものもあまりない。

ルトが、店員に声を掛ける。

「どういったものをご所望でしょう」

「…シンプルなものを。あまり装飾がついていない…」

ルトが「例えば」といって周りを見渡す。

「あーゆーかんじの………」

...そこで、ルトが指差したもの。


「………………………」


それを目に映した瞬間、彼は店員に説明をするのもやめて、じっとそのドレスを見つめた。