月夜の翡翠と貴方



店員も困り果てている。

ルトは少し考えて、他の店に行く、と言い出した。

そして、他の店でもそれを繰り返す。

やがて昼過ぎになり、昼食を取る事になった。





「疲れた………………………」


ナイフとフォークを片手に、私は顔全体で疲れをあらわにした。

テラスでのランチは好きだが、今は気分を満喫する気さえしない。

「なんで。ドレス着まわしてただけじゃん」

ルトは、特に疲れた様子もない。

「そりゃ、ルトは感想を言うだけだからね…」

「だけって」

はは、とルトは笑うけれど。

皮肉のひとつだって、言いたくなる。


「普通、女ってこーゆーの喜ぶんじゃねえの?ドレスとか、平民は滅多に着れるもんじゃないよ」


悪いが、私は平民ではない。

そう言おうとして、やめる。

こんな、多くの人がいるところで言うことではない。

確かに大抵の女は、あんなに豪華なドレスを着放題なんて、喜ぶだろう。

しかし、生憎私はその例から漏れている。